〔報告〕これで走るの!?リニア新幹線@エセナおおた12/10 (その2)山田 厚さんの講演より

(配布資料をもとに抜粋編集)

自治体にとってリニアの弊害とは?
リニアを考える自治体議員懇談会
甲府市議会 山田厚さん

●リニアの弊害が、広く自治体住民に広がっていません
住民の多くは無関心か、いまだに漠然とした期待感すらある
勝手に走り込んでいる自治体ー千載一隅のチャンス/起死回生の雰囲気
・リニア駅のそばにスタジアム建設?メリットばかり、デメリット、リスクを見ない

●沿線住民だけでなく 広域地域で環境と生活の破壊が
科学、知識、歴史経験を無視し、リスクを見つめようとしない中で、
残土処理、地域交通、騒音、振動、日陰、電磁波、水質水系、水害・防災などが
検証されていない
[この地域の特徴]

写真)リニア山梨県駅周辺整備地は「地盤沈下地帯」
グラフ縦軸/0㎜からマイナス70㎜ 横軸/93年から2016年
・20年間で6センチメートルから7センチメートル地盤沈下(大型土木事業に向かない)
甲府盆地南部はハザード地帯
 一旦浸水すると水はけがないことから湖水伝説がある地域で、昭和30年代まで水害のために
 農家は船を使っていた。農地にはできても施設は建設できないところ。安政の大地震で、大津村の建物倒壊率は94%
東海地震(東南海トラフ)30年以内に80%の確率
 ハザードマップーこのエリアは震度6、浸水2〜5メートルと予測される
・高架橋とくい打ち施行により水質・地下水系はどうなるのか?

写真)高架20mを時速500Kmで走るー
甲府のハザード地域 上/地震震度6強 下/浸水2m〜5m

●地域経済問題
リニアによる地域・住民の分断 借金による大公共事業による自治体財政の疲弊化
金利返済で社会保障・教育・生活予算が削られる
・リニア優先による、中央線・身延線の地方の公共交通への弊害
・人口減 地域力の低下


写真)乗り継ぎのため、リニアは早くない!しかも高運賃!
甲府駅新宿駅間で比較すると・・・
在来線=1時間30分・運賃3,610円クーポン券2,880円
リニア実質=1時間30分以上・運賃想定5,000円以上

[失敗すると自治体財政と市民は数十年間も苦しむ]
・リニア実験線の投資で失敗し、そのつけが続いている中、ニュータウン、ビジネスパーク、分譲地などの借金が続く
これらが県民・県議会に隠されている現状
[自治体財政ではマイナスのリスクばかり予測される]
新たな公共事業費の増大ー地方債の増大
山梨県駅 周辺整備 公共用地の土地買収・施設建設費用
沿線の側道 市町村・県道の建設 (JR東海自身は側道は作らないと言及/会議資料)
スタジアム・トンネル・・予想外に大きい
自治体業務としてー用地交渉 買収 事務実務 県市町村職員の派遣 無人駅に自治体雇用する駅スタッフ派遣 人件費は自治体負担
しかもリニア発着は1時間に1本 指定乗客は1000人とは限らず、通過ばかりもあり得る(会議資料)

●リニアが成功したとしても自治体財政はプラスにならない
・大公共事業による借金の元利の支払いは30年間続く
・リニアが営業しても所得税も望めず、自治体への収入とはならない
・駅前周辺 公地であれば固定資産税は入らない 施設のランニングコスト 維持管理
・日常的公費の増大 消防・救急の体制 防災だけでなく公害対策もある
[運賃収入の法人税収入はJR本社へ]
JRでの雇用は生まれない 新たな観光や産業が必要だが活発な企業立地、人口増が条件となる
もし税収が増えたとしても地方交付税で相殺される
黒字の収入増となり「地方交付税の不交付団体」にならなければ自治体にプラスにはならない

JR中央線身延線の大問題
すでに大きなニーズはあるのに整備されない問題を抱えている
中央線特急が走ってアルプス(急行)がなくなったように、さらに地域に必要な通勤通学用の交通に支障が予測される。
現状は中央線の利便性の悪さが、通勤通学に支障を生み、結果県外へ転出せざるを得なくさせている。


写真)中央本線の利便性の悪さから
他の都市と比べ通勤通学者が少ない!
青/通勤者数 黄色/通学者数
左から高崎市 宇都宮市 前橋市 水戸市 甲府市

●乱暴なリニアになります それは乱暴なJR独占の体質だから
都市計画道路を計画し、用地買収をするときには、何十年も前から計画、地図を示して新たな建物には構造の規制もかけ、用地買収に建物が少しでもかかれば全ての建物の全額を保障するもの
しかしJRは、これまでも通路やガードの工事で計画になかった延期、予算増大を一方的に実施。
・「リニアはペイしない」のJR東海トップの発言の意味は、「だから公費をしっかり出せよ」「自治体もしっかりもっと出せよ!」とも見るべき
公費を使わせ、住民の負担は当然とすることの宣言と言える


・基本的な体質として、1980年代の国鉄闘争の勝ち組がトップとなり、リニアの乱暴さが強まる
非人道的、違法で乱暴なことをしても、それをし抜けば勝ち組になる?!

自治体・自治体議会でやるべき対応
・事実を事実として拡げること 議員の調査と市民の情報公開
・かかる自治体の公費支出ーいまだ明らかでないことを追及
・さまざまな請願・陳情署名 暴走へ圧力をかける
・抑制の方法 フード 既存のJR線NO利便性向上
・住民監査請求から住民訴訟
 JRによる自治体の公費・職員派遣費用について精査 監査請求 住民訴訟
・委員会などで審議・調査し、それを市民が傍聴することで、真面目な議員を育てる
・条例の制定 環境関係厳格化 社会問題化

*山田さんのHP 甲府市議会議員 山田厚 http://www.ne.jp/asahi/kofu/yamada/