【リニアのパンフレットへの監査・職員措置請求をYBS、NHK甲府が報道】

 請求の主な内容は次の通り。

 山梨県が学校関係に配布したリニアのパンフレットの内容が偏っているとしてリニア・市民ネット山梨が県に監査・職員措置請求の様子をテレビが取り上げ報道した。これは、既報のマンガ家によって描かれたリニアの利便性を広く県民に広報する「リニアで変わるやまなしの姿」という冊子を問題としたもの。山梨県の総合政策部リニア環境未来都市推進室が、県内の小・中・高の学校生徒(約11万人)を中心に約1200万円かけて15万部作成し(平成30年1月)、2月初旬に学校や市町村の役場等に配布したものである。請求者は、これが学校への配布に際し教育委員会を経ずに、総合政策部から各学校に直送しているのは手続き上、適切とは言えないとしている。

 また山梨県広聴広報課は、広報誌「ふれあい」(Vol・56)でも同冊子の一部を紹介している。
 冊子については、この「ストップ・リニア」でも内容が既報だが、措置請求書では「山梨県のリニア環境未来都市整備方針に基づいて、漫画でリニアの利点のみを希望的観測に拠りつつ羅列したものにすぎない」というもの。それは山梨県自身が同冊子1ページの最下段に、きわめて細かな字で「現時点で想像される未来の姿について記述しています」と記し、「たとえそうならなくても釈明が可能になるような一文を付していることからも傍証される」と批判している。

 また「一方、同冊子は沿線住民や乗客、さらには自然破壊や財政など、国民が背負うことになる負の問題点には一切触れていない。リニアによって変わる山梨の姿は、リニアの通過によって生じる騒音、振動、日照等による沿線住民の生活被害や、南アルプスのトンネル掘削をはじめとする自然破壊、またリニア実験線への県費の投入や3兆円の財政投融資など、さまざまなデメリットがあるにもかかわらず、それらについては完全に無視し、一言も言及しないという点で、きわめて一方的かつ偏向した内容になっている。」というもの。

 こういう内容の冊子を作成し、県民に広報することは、それ自体大きな過失であるが、「さらにそれ以上に大きな過失は、情報をコントロールし、生徒に一方的な価値観を植え込もうとするこのような冊子を、県内の公立、私立を問わず、すべての小学校、中学校、高校の生徒に配布したことである」とも述べている。 

 リニアの負の部分には蓋をし、沿線住民等が呈している疑問や苦痛は無視し、こういうことに何らの配慮も示されていないこの冊子を作成し広く県内に配布する行為は、「憲法第92条に基づく地方自治法第1条の趣旨(地方自治の本旨に基づく民主的で公正な行政)に抵触する。また、沿線住民等の平等に取り扱われる権利(憲法第14条)及び憲法第13条後段の「幸福追求権」を侵害するものである。」としている。 

 措置の主旨は「冊子を作成依頼する契約自体が無効」であるから、
① 相手方(作成及び配送費・約1200万円を受領したもの)は、不当利得として受け取った代金を県に戻し、同時に推進室は、配布した冊子を回収し相手方に戻すことを請求する。または、
②リニアがもたらす被害や自然破壊、財政負担等の冊子を新たな予算によって、住民を交えて15万部作成し、同様に配布することを請求する。履行が不能の場合は、
山梨県知事及び推進室の責任者等は、連帯して代金相当額(約1200万円)の賠償金を県に支払うことを請求する。・・・という3点。