「JR東海への質問事項 5月11日説明会開催にあたって」リニア市民ネット東京 事前提出

リニア市民ネット東京は、説明会前に質問書を提出しておき、説明会での回答を求めました。

_______________________________________

                              2018年5月8日
                             リニア市民ネット東京
JR東海への質問事項  5月11日説明会開催にあたって

 先日3月30日の洗足小学校での説明会開催、誠にありがとうございました。会場からの相次ぐ質問に3時間以上もかけてお答えいただきましたが、すべての疑問にお答えいただく前に説明会が終わってしまいました。また、5月11日の大深度地下の説明会で、と、リニア事業についてなどお答えいただけなかった質問もありました。しかし、5月11日の説明会は、当初から19時から20時半とたった1時間半しか時間をとっていないため、前回の説明会の様子を考えれば、大深度地下についての疑問にすべて答えていただけるのか、はなはだ疑問です。
 そこで、以下の通り、要望するとともに、事前に疑問に文書でお答え願います。また、少なくとも当日の説明事項に加え、配布資料にもその内容を加えくださいますようお願い申し上げます。

1. 3月30日に明らかにされなかった以下の疑問にお答えください。
1)  磁界の数値は周波数が「6Hz」のみ書かれているが、その前後の周波数別の強度が記されていません。6ヘルツ以外の数値があるのか?ゼロであるのか、明確に表わさないのはなぜでしょうか。都合の悪い数値を隠していると言われてもしかたがないのではないではありませんか。発生しているはずの他の全ての周波数について実験線の実測値をその強度とともに公開してください。その上で基準値と適合しているかどうかを明らかにしてください。
2)  上池台では土壌調査でヒ素が出ています。リニアのトンネル工事で残土からヒ素が出た場合は「廃棄物」として別処分される、との答えがありましたが、実際にどこに処分されますか。具体的な場所と方法を示してください。今後、オリンピックにかけて、建設工事が集中し、現実に処理できるか非常に疑問です。机上の空論で工事が空転することのないよう、示してください。
3)  残土が城南島に運ばれ、その後発生残土は城南島が仮置き場にされる、とのことですが、当初の説明にはありませんでした。ルートも変っています。そして「運ばれた発生土は、公共事業等で活用される予定です。」と記されています。それはどの公共事業のことですか?行政との合意はされているのでしょうか。希望的予測でしょうか。いずれにせよ、決まっていなくとも予定であっても、具体的に示してください。
4)  このたび大深度地下使用についての説明会、とのことですが、洗足池の水涸れが心配されています。「地下水と池の層が違う」という図が示されて「水涸れは発生しない」との説明が前回ありましたが、それは水が抜けないということを保証する説明になりますか?地下水脈は、複雑で、詳細な調査を持っても証明は難しいと聞きます。根拠をお示しください。仮に水が抜けた場合、水枯れの原因がどこにあるのか調査し、リニアの工事でないことを証明できるのでしょうか。証明する義務はJR・行政・市民どこにありますか。仮に、証明できない場合、水枯れの責任をとって、原状復帰できますか。

2. 大深度地下について、事前に下記の疑問にお答えください。
1)  前回の説明会では、3時間余におよぶ説明会でしたが、今回は、その半分にも満たない1時間半の予定です。今回の説明会で説明しきれない場合、再度説明会を開催していただけませんか。すべての疑問に答えられなかった場合、再度説明会を開催していただけますか。
開催できない場合は、その理由をご説明ください。
2)  大深度地下には、地表の権利が及ばないとされていることを理由に、権利の設定、それにかかわる補償は行わないとJR東海のホームページに書いてありました。それでは、大深度地下は不動産取引における重要説明事項にあたりますか。
知らずに、不動産取引を行った場合、瑕疵担保責任を求められることはありませんか。
3)  また、JR東海のHP掲載の説明によれば、私権が及ばないとされているのは、公益性を有する事業のために公法上の使用権を設定しても、土地所有者等に実質的な損失が生じないことから、使用権の設定を土地所有者に優先させることとされている、と「詳細 大深度地下使用法」を引用して説明しています。
井戸を事例に支障がある場合は、保証の対象となると説明していることからも、リニア工事、完成後に騒音、振動、低周波、風害、不動産価値の下落、瑕疵担保責任を求められるなど、実質的な損害が生じれば、これらを保証することになるのではないでしょうか。
その場合、リニア計画路から何メートルまでが、重要事項説明をしなければならない範囲ですか。これは、誰が決めるのですか。

3. リニア計画全般について、現時点での疑問にお答えください。
1)  リニアのトンネル工事は各地で困難に直面しているようです。長野県では大鹿村でダンプ走行用の道路建設で崖崩れが発生し、住民を不安にさせています。道路工事は進まず、発生残土の搬送が予定通り始められないとのことです。そして何よりも長野県の最終的な残土捨て場が決まっていないと聞きます。静岡県では、川勝平太静岡県知事が記者会見で「白紙撤回もやむをえない」と語ったということが静岡県ホームページに記載されています(2017年11月30日)。その理由として、大井川の減水の問題が決着しておらず「リニア工事自体が無謀」としています。リニア沿線各地で工事が始まって早々このような困難に直面している上、さらに談合問題で工事業者が逮捕される事態が生じている、ということはリニア中央新幹線の工期が予定通りに進まないことでしょう。間違いなく10年以上遅れることになると思われますが、仮にそうなると工費も嵩むことになることが考えられます。その場合追加工費はどれほどの額になると計算しますか? 試算してお示しください。
2)  工期が延び、工費が嵩んだ場合、もともと「絶対ペイしない」ということですが、工期延長1年あたりの額を示して、採算オーバーがどれほどになるかお示し下さい。
3)  一方で、財政投融資3兆円は、JR東海に投じられたときいています。工事の進捗が進みません。この間、3兆円はリニア工事のどの部分にいくら投資され、使われているのでしょうか。あるいは、資金は置かれているのでしょうか。事業案件と投資金額ごと、3兆円全額の内訳をお示しください。リニア工事以外の案件に投資されていることはありませんか。
4)  このような「無謀なリニア工事」が大田区などで大深度使用として地権者の権利を侵害することを前提の法(大深度地下法)により進められようとしています。騒音や振動、地下水の涸渇や汚染が発生した場合、地権者、そして大田区民、行政大田区に対して、どのようにその発生した損失の補填をするのでしょうか。具体的な方策を示すことを要求します。

以上、大田区住民有志を代表し質問します。連絡先 懸樋 哲夫 電話:042-565-7478



【説明会参加報告】

11日下丸子区民プラザで開かれた説明会に私も参加しました。

職員を一体どれだけ動員しているのだろうかとその数の多いのにまずびっくり。
それにも増して、参加者が予想以上に多かったと思います。200人くらいは来ていたのでは?

壇上に居並ぶ前列の3人衆は前回洗足池小学校と変わらず。
議事進行も同じ人で、参加者の自由な発言を封じ込めるためか、何度も何度も「質問はひとり3問まで」「静粛に!」と繰り返して、なんと融通の利かない石頭だろうと呆れました。

重要な質問がいくつも出ました。
今回は大深度地下使用について住民に理解してもらうためだそうで、住民の心配や懸念、不安を「理解」する気はさらさらないのがよくわかりました。
そして、電磁波や磁界の説明は一切なしで、質問が出たらその点について答えるだけでした。なぜ丁寧に説明しないのかとの問いには「今回は大深度地下使用に関する説明会」だとこじつけ。

一番恐ろしかったのは、避難方法や避難に要する時間についての質問で、安全な設計なので、避難が必要になる事態はまず起きないが、トンネル内下部に避難用スペースがある、その中を伝って非常口まで進み、40人乗りのエレベーターで地上へ避難してもらう、のだそうです。
これは、事故があったら、助からないと思え、と言っているようなものではないでしょうか。

前回の説明会できちんと回答をもらえなかった点を含め、前もって質問して答えてもらいたいと考えて、5月8日に質問状を持って工事事務所に行きました。そして説明会の際に質問書への回答もすると聞いていたのに、それに該当するような説明は最後までありませんでした。私がなんども「この質問書には質問項目が多数あり、答えると言ったのだから全て答えて欲しい」と言っても、ひとり3問まで許すから早く質問しろと言わんばかり。3問ではなく全問になぜ答えないのか、質問書を読んでないのか?と詰め寄ると、おもむろに質問書は確かに8日に受け取っていると言いだす始末。しかも、ほかの参加者からの質問への回答で質問のこれとこれは答えたことになる云々、誠意の欠片も感じられない対応でした。

近々、この点を改めて質問しに工事事務所に出向こうと考えています。   岩井京子