リニア中央新幹線の不正受注疑惑に対する声明

リニア中央新幹線の不正受注疑惑に対する声明

現在、東京地検特捜部によって捜査が進められているリニア中央新幹線の不正受注疑惑は、大手ゼネコンのみならず、JV(共同企業体)の受注にまで広がりを見せ始め、しかもJR東海がリニア構想を発表した二〇〇七年頃にすでに四社間で協議が始まっていたことが分かり、この問題の根深さが少しずつ明るみに出てきています。
 私たちは東京地検が、このリニアの闇を徹底的に究明し、一点の曇りもない形で真相を白日のもとにさらけ出してくれることを強く求めます。そして、とくに不正行為が繰り返されてきたゼネコンに厳しい鉄槌を下し、二度とこのようなことが行われないよう心から望みます。
 ところで、こうした問題が起こった大きな理由は、言うまでもなく九兆円という事業費の巨大な利権にあります。しかも、この事業は、約三兆円の財政投融資が追加的に活用されたために利権はいっそう膨らんでいきました。
 そして、同時にリニア新幹線は、単なる民間事業ではなくなり、公共事業としての性格もあわせ持つようになりました。このような状況を前提にする時、私たちは次の三者の責任を問わねばならないと考えます。
 一つは、安易に三兆円の貸し付けを決めてあとは口を拭う国交省であり、また一つは、談合との決別宣言をしながらまたもや談合を繰り返すゼネコンであり、そしてもうひとつは公的資金を融通してもらいながらゼネコンに大盤振舞いをするJR東海です。
 私たちはこれら三者の責任を黙過することはできません。
さて以上のような状況に鑑みれば、ここまで事件の重大性が明らかにされ、深刻化してきたわけですから、ともかくJR東海はリニアの工事をいったん中止すべきです。独禁法違反という犯罪性の強い工事を続行することは決して認められるものではありません。
さらにJR東海は、自身とゼネコン各社の罪状が確定した際には、ゼネコン各社との契約をすべて解除すべきです。事業が従来どおりの契約のまま行われることは、再び同じ事態を招く可能性を孕んでいます。したがって私たちは、JR東海に工事の中止とゼネコン各社との契約の解除を求めます。公的資金を導入して、交通、輸送という公共性の高い事業を行う企業の倫理に照らせば、それは当然のことではないでしょうか。
最後に繰り返しますが、東京地検による疑惑の全容解明を切に願います。はたして地検の捜査は政界にまで及ぶのか、国民は捜査の行方を注視しています。

二〇一七年一二月二七日
リニア新幹線沿線住民ネットワーク
共同代表 天野捷一 片桐晴夫
川村晃生 原 重雄

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