報告:「リニア中央新幹線〜南海トラフ巨大地震は長野県も襲う」石橋克彦先生

<報告>

久しぶりにリニア新幹線の学習会に松本市で参加。地震学の専門家、石橋克彦神戸大学名誉教授のお話でした。
話の主旨は、国が事業の許可を出すとき、検討する委員会には地震の専門家がだれもおらず、南海トラフ地震が起こればリニア新幹線は耐えられない、乗客の安全対策は不十分で悲惨な目にあうだろうとのことでした。
 世の中には無駄な事業はたくさんありますが、リニア新幹線は「世紀の無駄」だと思っています。大井川の取水や残土で地元に迷惑をかけるにもかからず、国民のメリットが大してありません。
少子高齢化をむかえ、いまから赤字路線とのことですし、大量の電気を必要とし、人の輸送能力は低く、貨物が運べず、他の鉄道網と接続していません。リニア新幹線の乗車口は地下深いところにあるので、地上スタート、地上ゴールで計算するとトータルの移動にかかる時間は現在ある新幹線と大差ないそうです。
こんな無駄なことをする財政的余裕があるなら高額な東海道新幹線の乗車賃を下げてもらいたい。
「そもそも工学技術は、物を造ろうとする意欲や必要性を原動力として、その時点での限られた人知で無限の大自然に挑むものである。したがって、技術の適応範囲が広がるにつれて未知の自然が姿を現わし、人知の限界が露呈するのは宿命的なことで、それを克服することを繰り返しながら技術は進歩する。
問題なのは、現代日本社会が、このような技術の限界をわきまえず、大自然にたいする畏怖を喪失して、経済至上主義で節度のない大規模開発を推し進めていることであろう」
石橋克彦「大地動乱の時代」岩波新書
この事業の場合、採算がとれない見込みとのことなので「経済至上主義」にもなっていない。「長年の夢」だから造るそうです。

長野県大町市Yさんより