4.21 リニア講演会(川崎)報告

4.21 リニア講演会 報告(神奈川県川崎市
 『あなたの真下を「リニア」が通る〜リニア新幹線は必要なの?〜』

4月21日(土)に神奈川県川崎市川崎市総合自治会館ホールにて、リニアを考える東京・神奈川連絡会(住民有志)及びリニア・市民ネットが開催したシンポジウムに166名が参加しました。

当日のシンポジウムの映像は、下記アドレスからご覧になれます。現在シンポジウムの報告集を作成しておりますので、完成の際はご案内致します。

★当日の映像(1部 2部 講演のみ 時間:約1時間40分)
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/12423

第1部 『鉄道の未来学』著者 梅原淳氏(鉄道ジャーナリスト)「リニア新幹線に未来はあるか」

第2部 川村晃生氏「リニア・スピードの原罪」

第3部:パネルディスカッション

梅原淳氏(鉄道ジャーナリスト)
川村晃生氏(慶応大学教授・全国自然保護連合代表)
懸樋哲夫氏(リニア市民ネット事務局/ガウスネット代表)
小林光昭氏(JR 東海労働組合書記長)
猪股美恵氏(川崎市議)
コーディネーター:天野捷一氏(脱原発かわさき市民)

★シンポジウム・アピール(当日のシンポジウムにて案を採択、JR東海をはじめ各機関に送付します)

私たちリニア新幹線を考える東京・神奈川連絡会はきょう、リニア・市民ネットと共催して、川崎市中原区川崎市総合自治会館で、シンポジウム「あなたの真下をリニアが通る〜リニア中央新幹線は必要なの?」を開きました。横浜、川崎、相模原など神奈川県内だけでなく、広い地域から多くの方が参加し、リニア新幹線が、私たちの生活や自然環境に及ぼす危険性や問題点について専門家から話を聞き、熱心に話し合いました。その結果、以下に示すような多くの問題点があることが明らかになりました。


昨年5月に明らかにされたリニア新幹線計画は、3キロ㍍の幅に軌道を設置することが示されているだけであり、神奈川県知事はじめ多くの関係自治体首長も、「影響が甚大にもかかわらず、計画に具体性が無く、環境影響評価ができない」と指摘しています。


まず、在来新幹線の利用者は年々減少しており、今後少子高齢化が急速に進む中で、想定されているほどリニアの利用者が確保できるとは考えられません。また、品川〜大阪間で9兆300億円という膨大な工事費はJR東海が負担するとしていますが、さらに費用が膨らんだ場合、結局はこれまでの大規模なプロジェクトと同様に、国費による補てんや、利用運賃の引き上げなど、国民に負担を強いる恐れがあります。


次に、計画では、全路線の8割以上が地表から40㍍の大深度地下をトンネルで貫くとなっています。「住民の了解は必要ない。勝手に掘って構わない」ということですが、騒音や振動など生活への影響はないのか、地下水脈が枯れることはないのか、中央構造線をはじめ多くの活断層を貫通するため、地震が発生したら重大な事故が起きるのではないか、私たちは強い懸念を覚えます。トンネル内で事故が発生した場合、運転士もいない、たった一人の乗務員だけで千人もの乗客の安全な避難が可能でしょうか。ましてや、南アルプスのかけがえのない豊かな自然を壊してはなりません。


また計画では、トンネル工事によって出る土砂の排出や、空気を逃すため、そして乗客の避難口として、5〜10キロおきに、直径30㍍もの立坑を掘ることになっています。その工事のために、5千から1万平方㍍の用地が必要になるとしています。排出した土砂を搬送するダンプカーが、長期間、ひっきりなしに現場周辺を走り回ることが予想されます。そのため、騒音や排気ガスによる周辺の生活や自然環境への影響だけでなく、子どもや高齢者の安全が脅かされる危険があります。


リニア新幹線は強い電磁場を作り走行するため、健康を害する強い電磁波を出すおそれがあることが分かっています。JR東海は「国際的な安全基準を守るので、健康に影響を与えることはない」と説明していますが、それなら、実験線で得られた電磁波のデータや安全対策を全て公表すべきです。何よりも、最低でも新幹線の3倍もの電力を必要とするため、「原発を電力源にするのでは」という不安を私たちはぬぐえません。


JR東海は、「東海道新幹線は開業以来一件の死亡事故も無い。東北新幹線東日本大震災でも大きな被害は無かった。その安全技術でリニアも造るので心配はない」と言っています。しかし、リニアと在来の新幹線の技術は別物です。そして、福島第一原発事故により「安全神話」は崩壊しました。リニア新幹線についても、従来の「安全神話」を基にした議論は、もはや通用しません。
以上に挙げた理由などから、私たちは、リニア新幹線計画を白紙に戻すよう政府とJR東海に求めます。また、リニア沿線自治体の知事や市町村長は住民に寄り添ってリニア問題を考え、「住民の健康を守る」、「地域の環境を守る」という立場に立って行動するよう訴えます。


私たちの会は、リニア新幹線計画を知って、放射能と同じように、電磁波の影響を心配する若いお母さんの呼びかけで、昨年10月に生まれました。
「子供たちに負の遺産を残さない」、「福島原発事故の轍を踏まない」。今日お集まりの皆さんと、この決意を確認してシンポジウム・アピールとします。


2012年4月21日 リニア新幹線を考える東京・神奈川連絡会